『大平光代の̏子育てに効く̋論語』読了

今週は『大平光代の”子育てに効く”論語』を読んでみた。著者は1965年生まれで、現在は女性弁護士として活躍中。2000年に出版した『だから、あなたも生きぬいて』という本が260万部の大ベストセラーとなり、私もこの本で彼女の名前を知った。

相当変わった経歴の持ち主なので簡単にそれを紹介すると…

①14歳のとき同級生からいじめを受け、割腹自殺未遂。
②16歳で暴力団組長と結婚。その後、現在の養父に悟されて22歳で離婚。
③21歳のとき組を離れて大阪のクラブでホステスとして働く。
④29歳のとき司法試験に一発合格し、弁護士となる。
⑤34歳のとき『だから、あなたも生きぬいて』を出版、260万部を越える大ベストセラーに。
⑥38歳のとき女性初の大阪市助役に就任。
⑦40歳のとき帝王切開で女児を出産するがダウン症と診断される。

「おお~」としかコメントのしようがない経歴…。『大平光代の”子育てに効く”論語』では大平さんがその過去(体験)を振り返りながら、彼女が『論語』から得た教訓・エッセンスを「子育て」を中心にして語っている。なにせ経歴が尋常でないので、彼女の言葉は一つ一つ重たい。

『論語』について語る場合、その語り手自身がユニークな人物でないと、やはり語られる内容も面白くない。なので、『論語』研究者がどんなに熱く『論語』を語っても必ずしもそれが世間(一般)受けするとは限らない。大学の研究者には他人に語れるような壮絶な(ユニークな)人生を送っている方は大していないので…

『大平光代の”子育てに効く”論語』で面白いなと思ったところを一つ挙げると、大平さんがその人の「夢」と「志」を区別し、後者の大切さを説いているところだ。彼女は言う…

夢が「私は☓☓になりたい」と自分に終始するのに対し、志は「世のため、人のために尽くしたい」と社会的な意味を強く持っている。志というときは、自分のことではなく他者のことが先行すると思うのです。
(同書181P)

なるほど。『論語』に出てくる「志」という言葉は現代の「夢」と同じような感覚では置き換えられないということだ。なぜ「夢」ではなく「志」が大切なのか。

大きな文脈でいうと私たちが経済成長の見込めない、国が以前と比べて貧しくなっていく時代に生きているからだ。中国のように今経済発展の段階にある国なら今より「よりよい生活」を手に入れたいという「中国夢」を追求することも許されるかもしれない。

しかし、日本はすでにその段階にはない。なので個人がそうした経済的なことで自己実現や幸福を目指す(=夢を実現する)のはもはや相当難しい。ならば、個人が経済的成功以外でも自己実現し、幸福を手に入れられるような社会を目指していかなければならない。

どのようにそうした社会を実現するのか?こうした大きな目標を尋ねるときには「あなたの夢」という言葉より「あなたの志」という言葉で聞いた方がしっくりくるかもしれない。

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