加藤徹『本当は危ない「論語」』読了

加藤徹『本当は危ない「論語」』(NHK出版新書、2011年)を読了した。著者は1963年東京都生まれ。東大で中国文学を専攻、現在(執筆時点)は明治大学法学部教授。

著者によると「本書は、読者が自分の目で『論語』を読む(あるいは読み直す)ための、補助的な解説書」(「はじめに」より)にしたとあり、その章立ては次のようになっている。

第1章 『論語』誕生
第2章 孔子の謎
第3章 危うい『論語』の読み方
第4章 革命の書『論語』と日本人

本書は『論語』そのものの「内容解説」に重心を置いて書かれたというより、「『論語』の読まれ方の歴史」を解説することを目指して書かれた一書と言えるだろう。したがって、『論語』の内容についてよく知りたいという方が読むと、話が大分脇道にそれていく、という印象を受けるかもしれない。

本書を読んで共感した点を一つ挙げると、著者が改めて『論語』には「意味不明の句」が多いと指摘し、「原『論語』の述作者が誰かは不明だが、文章能力はそれほど高くなかったようだ」と主張している部分だ。

『論語』というのは、後の中国古典と比べると完成度があまり高くなく、ところどころ意味不明の句やどうとでもとれる文章が出現する。文章全体の配列もさほど意味があるとは思われない。これは明らかに時代によるもので、その編纂過程が非常に複雑だったからだろう(「第1章  『論語』誕生」参照)。しかし、こうした『論語』特有の原始的な「素朴さ」が後の中国古典には少ないある種の「親しみやすさ」を生んでいるのも確かだ。『論語』は未完成ゆえに可能性を秘めているテキストなのかもしれない。

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