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諸葛亮が若者に伝えたかった人生成功への一番の秘訣とは?-『外甥を戒める書』を読む

「テンセント儒学」から諸葛亮による親族への教訓に関する記事を一つ紹介します。

出典:
唐東輝「莫道只知『誡子書』且看諸葛亮『誡外甥書』」(2017-07-24 10:55

 

諸葛亮が若者に伝えたかった人生成功への一番の秘訣とは?-『外甥を戒める書』を読む

諸葛亮の『子を戒める書(誡子書)』は、彼が親族へ向けた教訓として古くから有名だ。その中の「身を修めるには静(落ち着いたさま)により、徳を養うには倹(節度を守る)による」は、孔明の息子に対する心からの教訓となっている。

この『子を戒める書』は非常に有名なので、諸葛亮の親族への教訓というとほとんどの人はすぐにこれを思い浮かべる。しかし、諸葛亮はもう一つ『外甥(姉妹の息子。異姓の甥)を戒める書(誡外甥書)』という教訓も書いており、やはり古今の名文となっている。一緒に見てみよう。

諸葛亮(画像出典:テンセント儒学)

『誡外甥書』(『諸葛亮集』)

夫志當存高遠。
慕先賢、絶情欲、棄凝滞、使庶幾之志、掲然有所存、惻然有所感。
忍屈伸、去細砕、広咨問、除嫌吝、雖有淹留、何損於美趣、何患于不済。
若志不強毅、意不慷慨、徒碌碌滞于俗、黙黙束于情、永竄伏于凡庸、不免于下流矣。

『外甥を戒める書』(『諸葛亮集』)

人は高い志(こころざし)を掲げなければならない。

先賢を追慕し、情欲を節制し、障害を除去し、その高遠な志向をはっきりと掲げて守り、心の底から情熱を湧き起こす。

順境や逆境に適切に対処し、些細な問題にとらわれず、様々な人に教えを求め、不和と物惜しみの悪感情を取り除く。そうすれば困難や挫折に遭ってもその志操が損なわれることがあるだろうか。事業が成功しないということを憂える必要があるだろうか。

もし意志が堅固でなく、情熱が心の底から湧き起こっていないならば、ただ凡々と世俗の中にとどまり、黙って情欲に束縛され、永遠に凡人の中に埋もれてしまい、人生の下流に陥ることを免れない。

『外甥を戒める書』のテーマとは?-「人は高い志を掲げなければならない」

『子を戒める書』では「身を修めて学習する」ことの重要性が述べられているが、『外甥を戒める書』では「志を立てて理想の人間となる」ことの重要性が説かれている。

冒頭の「人は高い志を掲げなければならない(志當存高遠)」は、高遠な志操があってこそ下流や平凡に甘んじることがなくなるという教訓だ。曽国藩(清代末期の政治家)もやはり「志があれば断じて下流に甘んじることはない(有志断不甘为下流)」(『曽国藩書』)と述べている。

どのようにして志を立てるのか?-「先賢を追慕し、情欲を節制し、障害を除去する」

「先賢を追慕する」:古代の偉人たちをモデルにし、自分もそれに近づけるよう目指す。

「情欲を節制する」:欲望が多くなれば、追求するものも多くなるが、それを節制すれば気持ちが乱れない。

「障害を除去する」:自分を高める上で障害となるものを取り除いていく。

この三点が実行できれば、「高遠な志向をはっきりと掲げて守り、心の底から情熱を湧き起こす」ことができる。

どのように志を実現していくのか-「順境や逆境に適切に対処し、些細な問題にとらわれず、様々な人に教えを求め、不和と物惜しみの悪感情を取り除く」

「順境や逆境に適切に対処する」:逆境の時には再び前進するためにひとまず後退し、順境の時には勢いに乗って行動する。

「些細な問題にとらわれない」:些細な事柄にとらわれず、大きな問題に力を注ぐ。

「様々な人に教えを求める」:立場が下の人にも広く意見を求めるのが本当の智慧と言える。

「不和と物惜しみの悪感情を取り除く」:人と仲違いすれば恨みの感情を引き起こし、物惜しみすれば人を遠ざけてしまう。

この四点が実行できれば、困難や挫折に遭ってもその志操が損なわれず、事業がうまくいかないことを憂える必要もない。

志を立てないとどうなるのか?-「平凡な人々の中に埋もれ、下流の人生を免れない」

諸葛亮は『外甥を戒める書』の最後でマイナス面から記述を行っている。もし志操が堅固でなく、情熱も心の底から湧き起こっていないならば、凡々と世俗の中にとどまり、黙って情欲に束縛され、永遠に凡人の中に埋もれてしまい、人生の下流に陥ることを免れない。

諸葛亮の『外甥を戒める書』は「志を立てる」というテーマをめぐって展開されており、冒頭で単刀直入に「人は高い志を掲げなければならない」と明言している。

しかし、ただ内容のない説教を行うのではなく、上述したようにいろいろな参考になる「志を立てる方法」を解説している。『外甥を戒める書』は若者たちがどのようにして志を立て、それを実現し、有意義な人生を送るのかという問いに対し、重要な指標となる価値を持っている。