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これが中国「介護技能実習生」の求人内容だ!

2017年11月1日から「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(「技能実習法」)が施行され、それに合わせて外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加された。

厚生労働省「外国人技能実習制度への介護職種の追加について」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147660.html

この法律が施行される以前は外国人技能実習生は「介護職」に就く目的で来日することはできなかったわけだがそれが現在は解禁された。

諸外国の国際人材派遣会社は早くも「介護技能実習生」の募集に乗り出しており、私の所属する日系介護企業もこうした諸外国の人材派遣会社とコンタクトを取り、求人に応募した技能実習生たちとの面接等を行い始めた。

では外国の介護技能実習生たちの求人内容はいったいどんなものなのだろうか?ここでは参考までに、中国北部の山東省・煙台市にある国際人材派遣会社煙台国際経済技術合作集団有限公司」(以下「煙台国際合作集団」)が出している介護技能実習生の求人内容を紹介してみよう。

ちなみに「煙台国際合作集団」は日本への技能実習生派遣を主要業務としており、毎年2000名近くの技能実習生を中国から日本へ派遣している大型国際人材派遣企業だ。

煙台国際経済技術合作集団有限公司(山東省煙台市)

http://www.yietcc.com/cn/Company1.htm


煙台国際合作集団「介護技能実習生」求人

日本政府は2017年に「介護技能実習制度」を解禁したため、中国国内の介護専門学校の卒業生は、この制度を通じて日本の介護施設で3~5年働き、日本の介護技術を学ぶことができるようになった。日本で介護技術を習得した後中国に帰国し、本国の介護産業の理念や技術を高め、豊かな高齢社会を築く貢献をしていくことが期待される。

【求人内容】
労働場所:日本の主要都市
職種:介護
労働期間:三年(延長可能)
性別:不問
学歴:職業技術高等学校以上(専攻が介護関連である者を優先)
言語レベル:中国出国前にN3レベル(日常的な日本語をある程度理解可能)以上

その他の要求:
1.介護の基礎知識及び相応の技能を備えていること
2.体が健康かつ医療介護事業に対して献身的で、忍耐力と責任感もあること
3.家族が来日を支持しており、日本で3年間働くことができること

労働内容及び待遇

労働内容
高齢者に対する介護及び介護に関連する仕事。
労働時間
毎週40時間以内。毎日8時間を超えない。規定された労働時間を超過した場合及び祝日の出勤は残業時間に基づいて計算する。
賃金待遇
毎月の平均手取り14万円以上。
待遇及び保険制度
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険

Q:なぜ日本に行って介護技能実習生になるのか?

A: 日本の医療介護施設では職員不足現象が深刻化しており、そのため高給で求人を出す医療介護施設もあり、待遇が手厚くなっている。

A:日本で三年の介護実践経験を積み、日本の医療介護施設の業務知識及び技能を身につければ、帰国後には国内で引く手あまたの介護人材となれるし、高給での就業も保障される。

A:日本で技能実習を通じて介護の理論及び実践知識を身につければ、社会的な認知のある「介護福祉士」の試験を受けることができる。また日本の看護師の資格試験を受けて合格すれば、日本の医療施設に直接就職することもでき、永住権等の取得も可能になる。


求人を見ればわかるように、待遇が格別よいわけではない。しかし、重要なのは将来性ではないかと思う。介護技能実習生たちは日本で3~5年の介護経験を積んだ後、中国に帰国し、今度は本国の介護産業を支える人材として成長していくことが期待されているのだ。そして海外で介護ビジネスを展開する日本企業も将来的にこうした自分たちで育てた介護人材たちの力を借りながら、海外でも更に大きく発展していければ理想的だろう。

さあ、これから果たしてどうなるか、実験はまだ始まったばかりだ……

介護技能実習生の面接のため煙台市(山東省)へ

1月23日から24日かけて昨年から解禁された介護分野での技能実習生候補の面接のため、大連市(遼寧省)から煙台市(山東省)まで出張に行ってきた。

大連市から煙台市までは飛行機に乗り40分くらいかかる。大連市も寒かったが、煙台市も当日は雪が降っており、空港も市内も一面銀世界だった。

23日は技能実習生の送り出し機関の方と夕食をとりながら技能実習生の現在の状況についてうかがい、翌日の面接についても簡単に打ち合わせをした。送り出し機関は毎年中国から2000名の技能実習生を日本に派遣している巨大な国際人材派遣会社。会社には技能実習生の日本語をゼロの段階から、3~4カ月の期間で日本で働ける初級レベルにまで到達させるための語学学校も併設されている。

24日は午前10時すぎから6名の実習生面接を行った。中国の短期大学で日本語を専攻した実習生もいたが、ほとんどはまだ3カ月強日本語を勉強したくらいのレベル。そのため日本語でのコミュニケーションはまだけっこう難しい。実習生はみながちがちに緊張していてこちらが申し訳なく感じるくらい。面接官として立場が逆なら無理もない、と思った。

実習生の過去の経歴を見ると、介護の世界とほとんど関連のない分野の勉強や仕事をしている方が多く、こうした方が日本まで来てどれだけ介護施設に貢献してくれるのかは未知数だし、1回の面接でそれを判断するのもまた難しい……しかし実習生は出国して働くというある意味では大冒険をすることになるため、こちらの人材選びは慎重にしなければならない。

午前で面接を一通り終えて、午後には煙台の人材派遣会社の運営する語学学校を見学させていただいた。教室では実習生たちが『みんなの日本語』(日本語学習教材)を使いながら元気に日本語を勉強していた。ひさしぶりに日本語教師に戻った気持ちになってしばらく実習生たちと交流した。さて、若い実習生たちはこれから日本でどんな体験をしてどんな人材になって帰国するのだろう……

15日に出国。国境なき競争に晒される覚悟は…

現在私は日本に住所がなくなり、埼玉県越谷市の某老人ホームに「入居」しながらそこで働いている。今日午前中に上司から「来週15日に出国が決まった」との連絡があった。

その後午後に大宮の法人本部で中国人参加者ばかりの国際交流会議に参加し、そこで私のビザとパスポートを受け取った。会議では今年アジアで行われる医療介護関連の展示会への参加スケジュールや外国人介護士及び研修生の受け入れ準備などがテーマとして話し合われた。

会議終了後私が中国滞在で住む予定のアパートを見せてもらった。3LDKの大きなアパートで当面私一人なのでほとんど部屋は使わないだろうなと思った。日本語教師として中国に滞在していたときも大学から教師用の大きなアパートを提供されたが、いかんせん一人なので最小のスペースしか使わなかった。今回果たして状況は変わるだろうか。

さて、日本語教師時代は中国で日本語が分かるというだけで私にある程度価値が生まれたのだが、今回のプロジェクトでは日本語が分かるだけでは話にならず、中国語を使って仕事をして初めて私に価値が生まれる。日本語教師時代は日本語を学ぶ中国人学生たちに随分偉そうなことを言っていたなと今でも思うが、今回逆の立場になって彼らに笑われないようにしないと…現在日本語が使いこなせるハイレベルの中国人たちと仕事をしているが、同時に国境を跨いだ人材競争にも晒されていると感じている。